蛙が降った日

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蛙が降った日

 T大民俗学部2年壮祐先輩には彼女がいない。モテないのではない。つくらないのだ。今まで何にもの女子が先輩に告白して、振られてしまった。  私もつい昨日、振られたばかりだ。確かに女子には困らないほどモテているかもしれないが、よりによってこんなにもカワイイ私を振るだなんてありえない。どうして駄目なんですかと柄にもなく突っかかってしまった。  何分か付きまとっていると、ついには根負けした先輩に「しょうがない、どうして駄目なのか教えてやる」と言わせておしゃれなカフェに引っ張り込むと先輩は口を開いた。  「.........そして僕は彼女と公園に行った。  ベンチに座って喋っていると次第に雲行きが怪しくなってきた。 「それでね、もう少しで蛙が降ってくる。」バチンと叩きつけるような音に目を向けると蛙が横たわっていた。「あれがね、お母さん」  その蛙を皮切りにたくさんの蛙が降ってきた。「あれがインストラクターで、あれがお父さん、巴ちゃんに文香ちゃん...」  彼女のふざけた冗談に耳を傾けていると、彼女の声が止んだ。ふと横を振り向くとそこには誰もいなくて、ただの一匹の蛙がいた。」  「その蛙は...?」という私の問いに彼は答えず、ただ「まだ信じているんだ」と言った。何をだよ。  「だから君と付き合うことはできない。君は綺麗なのだから他にいい人を見つけなよ」 そう言って先輩は立ち上がった。 「じゃあ」 去って行く先輩の後ろ姿は青く照らされていた。 蛙なんかより私の方がずっとカワイイのに
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