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祭りはこの神社を中心に行われる。
いつもはあまり人気のない、静かで居心地のよい、隠れ避暑場なのだが、今日は辺りが賑わっている。
それでもやっぱりこの境内だけは人気がない。
青空1人と大量のセミが海人を待つ。珍しく先に居ない。別に待つことは苦手じゃない青空にとっては苦痛ではないけど、この暑さとぴちぴちの浴衣と、海人との初めてのお出かけにドキドキしている。
「早く来ねぇかな」
思わず口に出す。早く来てほしいけどまだ心の準備が整っていない気もする青空である。
「来たよ」
「うわっ」
後ろからの海人の声に、足音もしないからびっくりする。反射的に振り返ったらそこにはいつもより数倍格好いい海人が立っていた。
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