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『斎(いつき)』という名には、穢れを浄化するという意味があると彼は言った。  しかし、『犬神(いぬがみ)』という姓には憑き筋の家であるが故の、醜悪と憎悪が封じ込められている。  それでも彼は、『犬神斎』という人間を綺麗だと言ってくれる。  気まぐれも、わがままも、絶望も、混乱も、全てを彼は受け入れようとしてくれる。 彼のような人が、本当にこの世に存在しているのだろうかと心痛い時もある。  だから、時々、とても、不安になる。
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