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終
あのまま、彼を凍らせてしまえば良かったと思う時もある。そうすれば、もうこんなに苦しまずにいられた。たとえ彼が孤独の奈落に落ちて、ただ一人にしか話せなくなったとしても。凍ってしまった自分を押しつけてしまえば、彼は徐々に温かさを搾取されていっただろう。
この体さえ彼を知らなければ、この瞳さえ彼を映さなければ。
同じように狂わせてしまうには、彼は優しすぎた。
同じように凍らせてしまうには、彼は温かすぎた。
だから、不安だった。
たぶん、できないと思った。
せめて、中途半端に凍ってしまった彼が溶けるようにと、全部を置いてきた。
彼が笑ってくれればいいと思う。幸せになってくれればいいと思う。
もう終わったのだから。
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