病院_3

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「尚也の魂がサトシの中に一年いたって話したよね。俺さ、実はついこの間まで、サトシの中にいるのは尚也だと思ってたんだ」 「それって八年前からずっとってことですか?」 わたしは驚いて思わず星さんの横顔をまじまじと見つめてしまった。 だって、わたしがサトシさんの体にいる時、星さんはずっとサトシさんに対する態度だった。尚也さんだと思っていたなんて……。 そうやって知らないふりをし続けてきたんだろうか。一人で秘密を抱えて? 星さんもサトシさんに負けず劣らずお人好しだ。 何だか星さんの話が上手く消化できずに、胸がつかえてきた。 だってみんな苦しすぎるよ……。 「リピートの原案は尚也なんだ」 急にリピートの話が出てきてわたしは更に驚いた。 「けど、尚也の葬式の後しばらくして、リピートの続きを書こうって言ってきたのはサトシだった。 その時、消えたのは尚也じゃなくてサトシなんじゃないかって思い始めて……」 最早、話を飲み込むことができなくて、脳が酸素を求めて喘ぐ。 星さんは結論まで一気に話そうとしているのか、休まず話し続ける。 「でもこの間サトシと話して漸く納得できた」 ああ、昨日の夜のことだ。二人の魂は融合してサトシさんの体の中に生きてるってことだった。 「話が逸れたけど、燿子ちゃんがさっき教えてくれた犯人の中の一人、……もしかしたら尚也のお母さんかもしれない」 そこで星さんと目があった、 わたしはもう酸欠の金魚みたいな状態で、返事もできずに星さんを見上げるしかない。 「それともう一つ。燿子ちゃんだから話すけど、この間市議会議員の松本の話したの覚えてる? 尚也は松本議員の愛人の息子。所謂私生児って奴。だからあのお母さんが一年で尚也の延命を諦めるなんて有り得ない。お金に困ってるわけでもないし、むしろ議員との繋がりである尚也がいなくなったら困るだろ?」 わたしの頭では処理しきれないほどの事実が一気に知らされて、ここでついにわたしは星さんにストップをかけようと立ち上がった。 その時、聞き覚えのある声が背後から聞こえてきた。 「なんか面白そうな話してるじゃねえか」
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