サトシの部屋_2

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わたしが、元の世界を引き寄せる……? サトシさんに聞きたいことがたくさんあった。 分からないことが有りすぎると、人はどんどん不安になっていく。 今、わたしに確かな答えをくれるのはサトシさんだけだ。 力強いサトシさんの言葉がわたしをどれほど慰めていることだろう。 サトシさん、あなたと話したい。 あなたに教えて欲しい。 それなのに、またするりと入れ替わる。 わたしの魂はサトシさんの中にすっぽりと入っている。そこではサトシさんの声は聞こえない。 のろのろと床やテーブルに零れたコーヒーを拭き取りながら、サトシさんの言葉を反芻していた。 どうすれば元の世界を引き寄せられるんだろう。 わたしのいた世界と、今いるこの世界の違いは何だろう。 あの瞬間何が起きたのだろう。 それを知る為には、この世界のわたしに対峙しなくてはいけない。 まさか、リピートのように自分に会ったら他の世界に飛ばされるなんてことはないと思いたい。 ドッペルゲンガーを見ると死ぬっていうのを聞いたことがあるけど、それってもしかして並行世界に飛ばされるってことなのだろうか。 とにかく時間がない。できることからやっていくしかない。 カタンとドアの方から音がして、見てみると朝刊が差し込まれていた。 昨日の事故が載っていないかと見てみたが、地元紙とはいえ新聞に載るほどの事件でもなかったようだ。 その中で気になったのは、地元発信のアイドルグループのファンが、イベントで集まった人に麻薬を売っていたという記事だ。 昨日、あのショッピングモールでイベントを行っていたグループだ。 それに、昨日この近くで麻薬が売られていたという事実。 何かが繋がりそうで、まだ何か足りない。そんなもどかしさを抱えて居ても立ってもいられず、結局星さんを起こすことにした。 一人で考えるより、二人の方がいいに違いない。
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