蓼喰う、喰わず。

とりあえず目的地が同じだから一緒にいる。俺はそれでいい。人生のどこに重点を置くかなんて人それぞれだ。

そのまま実家経由で娘を回収して自宅に戻る。リビングに下ろされておもちゃ箱に走っていく姿を一応見届けて自室にもどる。持ち家にこだわりなんてなかったけど書斎のある作りにしたのは本当に正解だった。

「今日ヒマ？」

スマホのロックを解除してメッセージを飛ばす。いまも地元の奴や、いくら今暇だとしても到底遊べない距離にいる仲間も含めて、全部。結婚したからって、子どもが出来たからって、仲間から忘れられたくない。

だれも捕まらなければいきつけの店にでも顔を出して、俺の財布にしか興味がない女達と楽しく酒でも飲めばいい。