令和からの疫病神

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話すネタが… お金がないとか、体調が悪いとか… 楽しくない会話しかできなくて、家事と育児に追われる日々…自分でも嫌になる。 簡単に出かけたりできない私に、ネタ探しは容易ではない…子供以外の誰かと会って聞いたり話したりする体力も時間もない。 テレビや携帯で見かけた物ぐらいしか世間の情報や関わりがない…それじゃあダメだ…せっかくLINEがきても、このままだとそれも無くなってしまうんじゃあ!?と怖くて、 動き出した… 前は彼が連れてってくれてた重い買い物も、回数を分けて歩いて行く。 子供の参観日や学校へ行くのも、お金をかけず時間をかけて歩いて行く。 何度も倒れそうになる…けど、誰も助けてはくれないし助けられないなら、やるしかない…足があるから時間をかけて前に出す。 どれだけ彼に助けられ救われていたのか…ありがたみを感じられる。 暑かった…空がキレイ 雨だった…雫がキレイ スイスイと横切る車を羨んでも仕方ない 道端の小さな花…蝶を写真に撮る 何かに似ている雲…空を写真に撮る 雨でも嬉しそうな蛙…傘をさし写真に撮る 私は今日も頑張って出てるよ♪という意味でキレイに撮れた写真を彼に送る。 月がキレイだよ♪と彼も写真を送ってくれた…本当は昔のように並んで彼の家のベランダで見たかった。 同じ月を見たくて外へ出た… 変質者に付きまとわれた… 転んだ… 苦しくなり倒れこむ… 同じ月すら眺められなくて哀しかった 帰りに酔っぱらい運転にひかれる 同じ月は見れなくとも、走馬灯のように彼との楽しい思い出が見られた… 悔いがない訳じゃないけど、幸せなままで終わりを迎えられた事に幸せを感じた。 彼に出会えたから、こんなにも一人で生きる事が大変で苦しくて辛くて寂しいと思えた。 いつも半分…いや、それ以上に彼が背負って支えてくれてたんだと感謝する。 やっぱり、本気で彼を愛してると…そう思えた自分に気付けた。 何一つ問題は解決してないし、何一つ不安がない訳じゃないけど…それでも彼に出会えた事は大きかった。
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