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倒れそうなくらい、腹が減っていた。
部活帰りのファストフード店で補給したつもりだったが、
「シンタの型はダイナミックでいいね。回し蹴りと、特に二段蹴りは高さがあってキレもいいし、顔もすごくカッコよかったよ」
「え、顔も?」
「うん。気がほとばしってるっていうか。いい面構えしてた」
そんなイブキの言葉に上の空で、あっという間に食べ尽くしたセットはもう記憶にも残っていない。
まだまだだかんな。
もっと練習して、もっと上達して、もっと強くなるんだ。
ふと、あとで店に現れたイブキの双子の姉・メイの顔がちらついた。
メイは早速「ちょうだい」とイブキのポテトをつまみながら、
「ねえシンタ、今度手合わせしない?」
「えっ」
「こら。これだから彼氏できないんだよ」
「ふん。私より弱い彼氏なんかいらないし」
「……お、雄々しい……」
……強くなるついでに、少しはモテたいかな……。
可愛くてモデルもこなすメイが彼女になったらと、妄想をふくらます。
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