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「プロテインも持ってきたよ。明日にでも飲んで」
「ありがとう──しかし何故にプロテイン、イブキ」
大容量プロテインに怯むシンタにイブキは微笑んで、
「空腹時や疲れた時、人間の体は筋肉を分解してエネルギーに回すから、その分タンパク質を補ってやらないといけないんだ。あと、疲労回復に効果的なグルタミン酸もブレンドされてるから」
「……」
妄想ランキング「脱いでも凄そう」の部、堂々の一位。
年齢性別無視で抱かれたい男ナンバーワン。
これが(とても本人には聞かせられないアオイからの情報を含む)数多の称号を青葉ヶ淵高校在校生のみなさんから授けられたイブキのパーフェクトボディの秘密かと察した時、
「はいシンタ、たくさん食べてね」
「……はい……」
……オレ、どこに向かおうとしてるんだろ……。
『まんが日本昔話』でしか見たことのない盛り付けのご飯茶碗を受け取るシンタは胸がいっぱいになった。
「お父さん、遅くなるんですって」
「そうなの?」
携帯を手にしたユイに抱きつくメイが、肩越しに画面を覗き込む。
「よかったじゃない、ゆっくり帰れるし」
「こら」
「本当に助かりました。……もう、何とお礼を言ったらよいのか」
背を正して頭を下げる父はいつもよりもだいぶ早く食事を済ませていた。
食べた気なんかしてないだろうなとシンタは思った。
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