序章

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冴えない一日が過ぎようとする頃。 夜更けのリビングに、鬼女の形相で携帯電話を手にするマユミがいた。 「……いつも、いつも」 食事は「何でもいい」と言うだけのくせに。 「今日、これだけ?」 「質素だね」 美味しいとも不味いとも言わないくせに、 醤油、マヨネーズ、ソースを一口も食べないうちに大量にかけるとかあり得ない。 味覚逝ってんの? 早く腎臓ふたつやられて死ねばいいのに。 違うか。 腎臓やられて、提供者見つからないまま苦しんで死ね。 怒りそのままにSNSの投稿欄を埋め、『投稿する』ボタンをタップする。 はあ、と荒くため息をついた時、メッセージアイコンがポップアップした。 『新規メッセージ:1件』 「……?」 何だろうと思いながら、マユミは受信ボックスを開き、メッセージを読んだ。 『今こそあなたの怒り、悲しみを晴らすときです』
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