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実際には『Ring』と書いて、『りん』と読ませている。特に由来は無い、覚えやすいかなくらいだ。
「私は日本支社で働いている、増田と言います。今日は通訳の為に来ました」
言いながら名刺をくれた、名刺には編集長、増田敏美とある。
「こちらは本社から来た記者の、ジョナサン・カーライルです」
増田さんの仕草で判ったのか、カーライルが会釈する。
『今朝着いたばかりでね、興奮で寝てないんだ』
カーライルが笑顔で言うのを、増田さんは真面目に通訳してくれた。
『早速なんだが、単刀直入に聞きたい。君は何故、セレツィアの事を小説にした?』
座りながらの質問だった、その通訳は少し間が空いた。増田さんも驚いているようだ。
「……えっと……」
『君みたいな子供が書いていると聞いてびっくりした。政治に関心が? 現状のセレツィアの乱れっぷりも克明に書いてるし、20年以上前の事件にまで触れている』
「あの……王太子様は国に帰りたいって思ってるんです。せめてその手助けがしたいと思って、書いてます」
『王子と友達?』
「クラスメートです」
『王子は身の上話をするんだ?』
「フィルからはあまり……単に、私もそんな状況に置かれたら、きっと親や兄弟に逢いたいって思うから」
『そりゃ帰りたいだろうなあ、王様になれば甘い汁が』
「フィルはそんな事の為に帰りたいんじゃない、ある日突然国を追われて、反逆心があると勝手に言われて、殺されかけてるんです、何度も!」
思わず大きな声になった、母が内容に驚き、声の大きさにも驚いて諫めてくれる。
「せめて、家族がもう一度逢えるようにしてあげたいんです……だから世界中の人が、間違っている事が起きていると知らせたくて……!」
『なるほどなあ』
カーライルは顎を撫でながら言う。
『だが世界は知ってる、黒幕はマルグテだと。しかし、他国の政治に口出ししないってのは社会の常識だ。どんなに卑劣な犯罪者だと判っていても、お前に王の資格はないと責める資格はないんだよ』
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