【ボディガード】

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『でも、ヘフゲンに大金で雇われて、10年ほどはボディガードをしていた。ヘフゲンには黒い噂が多い、その多くにクジマが絡んでいると言っていいだろう』 「その人に、ティモシーさんも……」 『多分ね。だから社内でも暗黙の了解になってる、ユルリッシュ殿下を始め、セレツィアの事には首を突っ込むなと』 「……そんな」 世論に訴えたいと思っているのに。まあ、小娘が小説サイトに小説載せる程度で世界は動かないだろうけど。 『でも』 カーライルが、小声になって身を乗り出す。 『俺は、ヘフゲンの黒い噂を暴きたいんだ。部下まで殺されて引き下がるってないだろう? 君が持ってる情報を出してくれ。君は何を知ってる? なんなら王子に逢わせてくれても──』 「Excuse me. May I interrupt?(邪魔していい?)」 突然の頭上からの声に驚いた、良がいつもの笑顔をたたえて立っている。 「え、良……」 『君は?』 カーライルがひときわ不機嫌そうな声で聞く。 『彼女のボディガードです。お話は概ね判りました』 わあ、発音、いいなあ、ネイティブスピーカーだわ。 『是非お会いしたいと、元セレツィア王国王太子様がおっしゃってます』 私には会話の内容は判らなかったけれど、増田さんとカーライルはひどく驚いて、すぐに大喜びした。 * 横浜駅からは電車でほんの数分で、石川町駅に着く。そこからほんの僅かの徒歩圏にあるのが、フィルが住むマンションだ。
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