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なんか、改めてネット社会の凄さを感じた。私が書いた話が、世界中で読まれているんだ!
「マルグテ夫人は面白くないだろうなあ。放っておいてくれたら忘れられて行くであろう事実を書かれて」
良はのんびりとした口調で言う。
「ごめんなさい、確かに、世界中の人に、国に帰りたくても帰れない人がいるって知ってもらいたくて書き始めたんだけど」
その所為で自分の命を狙われるなんて、思ってもみなかった。
「ありがとうございます」
カルロが言ってくれる。
「殿下を思っての行動、やはり日本女性は逞しい」
逞しい、は褒め言葉だろうか?
「最後は君と殿下が出逢ったとこまでだね。まだ続き書くの?」
「あ、はい、そろそろ本当にフィクションにしようと思っていて……」
自分の身の上に起きた事を書くつもりは全くなかった、そもそも命を狙われるなんて思ってなかったし。ラストは皆和解してハッピーエンド、のつもりだったけど。
と、画面を見ていた良がにこっと微笑んで、とんでもないことを言い放った。
「遊園地で起きた事、包み隠さず書いちゃえ」
「ええええ!?」
そこにいた皆が声を上げた。
「きっとマルグテ夫人やハルルート陛下はイライラしてると思う、自分達は手を出せないし、かと言って遠い異国で思うように指示も出せない。なんとか日本人のならず者に殺人を依頼はできたけど、失敗した挙句、当の作者がそれをネット小説に上げてるなんて判ったら……どうなるかなあ?」
良の声は楽し気だ。
「……どんな手を使ってでも、関係者を殺しに来るでしょう」
「あ、やっぱそう来るよねぇ?」
「いけません、外交問題に発展を」
「まあ、それは平気でしょ、俺は別に警察の関係者じゃないし、マルグテ夫人やハルルート陛下も、いざとなれば国は捨てるでしょうし」
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