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にこにこ笑いながら言う。
『一番のあなたの目的は、シルヴァン陛下が王位に戻って、フィルベール殿下が嫡男として国にお戻りになる事でしょう? それにはハルルートの失脚が一番の近道では?』
そこだけは英語で早口に言った、カルロは重々しい声で答える。
「──Yes」
「とりあえず、マルグテ夫人あたりに近い人間に来てもらって、そいつを締め上げて、マルグテ夫人の名前を聞き出すのが一番手っ取り早いんだよな」
全く持って挑発的な発言を、ナナさんが冷たい口調で良を呼んで諫めたけれど、良はガン無視だ。
「しかし、殿下の命を危険にさらすのは……」
カルロがもっともな意見を上げる。
「Well then……」
カーライルが、なにやら挑戦的な笑みで声を上げた。
『そういう事なら、俺達も協力しよう。フィルベール殿下は現在アメリカにいて、そこから王位を狙ってるくらい書いてやるよ』
『え、そんな事は……』
カルロが否定するのに、良は乗り気だ。
『いいですねえ、採用!』
『しかし!』
『日本にいる筈なのに、いつのまにやらアメリカへなんてなったら、マルグテ夫人たちは本気で焦るぞー? 自分達の立場が盤石じゃないことは判ってるだろうし、そこへ協力している人なり国なりがあると思ったら』
なにやら盛り上がるけど、英語での会話で、私には判らない、でもフィルは頭を抱えた。
「──どうかしたの?」
隣に座るフィルに、小声で聞く。
「──クレイジーな大人ばっかだと思っただけだ」
その理由は、その晩に判った。
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