美しいあなた

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おじいちゃんの家に行くと一緒に散歩する。 店の前の道路を渡って角のカメラ屋さんを周り、イタリアンレストランや料亭の並ぶ通りを進むと私の目的地がある。 金魚屋さんだ。 落ち着いた通りに突然現れた色の洪水だ。 ガラス張りの店の床から天井まで水槽がビッシリと積み上げられている。 きちんと種類ごとに水槽に入れられて、そこにある。 お店の外からガラスにへばりついて飽きることなく眺めた。 月に2〜3回の私の楽しみだ。 私は4歳だから自分だけでは外出出来ない。 いつも私を怒鳴り殴りわめく母も実家では叩かない。 それにお散歩にはついてこない。 最高だ。 今だけは両親のことを忘れて、4歳の女の子になれる。 おじいちゃんはせかすこと無く私が行くと言うまでずっと待ってくれた。 そんな人はおじいちゃんだけだ。 「はやくしなさい。 まったく、アンタはグズなんだから。 バカが。」 と、私は母にいつも怒鳴られる。
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