アリスは夕暮れに・・・

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「どこか・・・悪いのかしら」 母はアリスから眼が離せない。 つい、溜め息が出る。 「野生は野生に任せる!  ウチが飼ってるわけではないから  生きるも死ぬもアリス・・・  猫に任せる!家へ入って!」 “アリス”は・・・母と尚史が 勝手に付けた名前だから 私がそれを呼ぶことは アリスを認めることになる。 なんだろう・・・たかが猫、 私は何を、意地に・・・ いや、解っていた。 アリスを見ていると妹を思い出すから。 美しい娘だった。 高校でも大学でも男性が 群れをなして妹の周りにいた。 その中でも一際熱心なプロポーズを 連日していた先輩と妹は 卒業と同時に結婚、  長男である男の家へ“嫁”に入った。
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