アリスは夕暮れに・・・

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あれから13年。 尚史は私を母だと、 私の夫を父だとしてきた。ただし、 他人の口には戸は立てられない。 次第に耳に入るいろいろ・・・ 尚史の父親は親に口答えの 1つも出来ない人で 妻を庇う一切もなかったとか。 挙げ句はほとんど家へは帰らず 愛人の家へ入り浸りであったとか。 姑は妹を嫌う余り、妹の熟睡すら 妨げるように家事を押し付けたとか。 私達でも知らなかった事実が 方々から漏れ聞こえ、 母も尚史も・・・私たち家族は 息苦しい数年を過ごした。 救いとなったのは、 尚史は心優しく、 私を、私の夫を慕い、 祖父母を大切に、健やかであること。 ただし、この穏やかな幸福は なぜだかか細くも思えて たかが野良猫の在、不在に 気持ちが揺れる。
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