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2.
近年の梅雨は、しとしとと雨が降り続き湿気でジメジメしたかと思えば、真夏のように晴れ渡り気温が一気に上昇し、いち早く台風が発生するなど本当に目まぐるしい。
日々の寒暖の差も激しく、はるの機嫌は少々斜めになっていた――
そんなはるの元に、豪の実家から荷物が送られてきた。
豪の妹さんが子供の頃に着ていたという服を母親がリメイクしたから着て欲しいというものだった。それだけでは、はるがつまらないだろうと、好きそうな菓子や雑貨、そして、妹さんがバイト代で買ってくれたという、みずいろの傘と揃いの長靴も入っていた。
はるは嬉しそうに全身で喜びを表し、はしゃいでいる。一つ一つを手に取っては、『わーかわいい! わーおいしそう!』と繰り返し、ふと我に返ると『ばばとおねえちゃんにでんわする!』と、豪をせっつき電話をさせた。相手に電話が繋がると、やはり豪は画面をごしごしと袖口で拭いてからはるにスマホを手渡した。
近くでそれらの様子を見守っている僕に対し、何となく気まずいのか豪は決して目を合せようとしない。
僕は、そんなぎこちない豪をやはり可愛いと感じてしまう。
「それにしても――なんで、女の子なのにみずいろなんだ?」
豪が微かに呟く。僕は聞こえないふりを決め込んで、はると共に風呂場へ向かった。
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