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調べれば調べるほど、『感性』というワードは、とてもあいまいな言葉です。
喜怒哀楽のような『感情』とも違うし、『美意識』や『センス』とも似てるようで違う。『感覚』と感性は関係あるだろうけど、同じというわけでもなさそう。
この『感性』という言葉、英語だとsensibity って訳すことが多いみたいですが、最近は kansei と表現することもあるんだそうです。日本語の『感性』の意味を、ちゃんと表現できる英語が見当たらないから、と。
うーん、感性という言葉、すごく奥深い。
よく分からなくなって、いろんな本を読み漁った結果、こんな言葉に出会いました。
読んだ本は、名取芳彦さんの「感性を磨く練習」です。
その前書きで、筆者は【感性=周囲の人や物に対する、さまざまな気づきと、共感する能力】だとして、こんなことを述べていました。
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感性は「磨く」と言われるように、感性の原石が私たちの身近にあって、磨けば光ると考えられてきました。(略)その原石にどのような磨きをかけるかは自分次第です。
(中略)
花を「花ことば」というやわらかい布で磨いて、一輪の花を心の花畑にまで昇華させる人もいます。橋を見て、「建設費やメンテナンスに、いったい、いくらかかるのだ。それは私が払った税金から出ているのだぞ」と、損得という目の粗いヤスリで削ってしまう人もいます。
磨き方は人それぞれですが、豊かな人生を送りたいと願うのなら磨き方にコツがあります。損得や比較、有益と無益、好悪など、すぐに喜怒哀楽に結びつくような磨き方をすれば、せっかくの原石も鈍く曇ったままです。
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名取さんは、有名な寺院の住職だった方です。ですから、仏教の教えに基づいて、せっかくの美しい心が、煩悩の雲で覆われないように、感性を磨くことを提起しています。
私個人としては、大人として生活している以上、損得のヤスリで削らないといけない場面はあると思うし、それが悪いことだとは思いません。
だけど、損得や効率ばかり考えていたら、知らないうちに、心が錆びついてしまうことを痛感したばかりです。
名取さんが言うように、【感性=周囲の人や物に対する、さまざまな気づきと、共感する能力】だとしたら。
感性が豊かな人って、目の前にある物を見ながら、『見えない情動や気持ちまでくみ取る能力』が強いのかも、と思いました。
例えば、夕焼けを見てしみじみする『感性』を持っている人は、その夕焼けに、自分の切ない気持ちを重ねていたり、言葉にならない儚さを感じ取っていたりするのかも…。
…深い、なんて深い言葉なんだ、感性って!!
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