懐かしのフウちゃん

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青空に白い雲が浮かぶ天井の壁紙と、落ち着いた色の床の上にはアンティークのテーブルやベッドある。 いつも綺麗に掃除してくれる夫のおかげで部屋は清潔に整えられている。 「 来年から小学生になると思って私は楽しみにしてた。 おじいちゃんの家に行くと近所の本屋さんでなんでも好きな本を買ってもらえた。 クリスマスプレゼントも誕生日プレゼントも一度ももらったことがない私にとっては、それは凄い嬉しいプレゼントだった。 やっとひらがなが読めるようになった私は、絵本を卒業しようと思ったわ。 お母さんは本を読んでくれないし、もし読んでくれたとしても全部怖い声で読んで私を怖がらせて、私がブルブル震えると、ニッコリと見た事がないほどニッコリと笑ったの。 だから必死で字を覚えた。 自分で本を読みたくて。 いつものように私は一人で本屋さんへ行った。 お隣のくだもの屋の孫です。 と、言うとお金を払わないでも ( お嬢さん、いつもありがとうございます。) と、言って包装してくれるから一人で行ったの。
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