懐かしのフウちゃん

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いつものように子供の絵本が並べてある店の奥に行って私は何を買おうかと探した。 本を選んでると何か音が聞こえる。 キュキュとかギュギュとか。 誰かがボールを握っていると思った。 あまりに隣で聞こえるしなんだか臭いから左を見たら大きい手の中に赤いピンク色の肉を握って潰すようにしてる男の人がいる。 私の顔の真横に男の股の付け根があり、そこにあるものを握って潰している。 私は驚いて男の顔を見上げた。 細い目をしていて、その目を見つめても見つめても底が見えない。 そんな目の人を私は知っている。 私の両親と同じ目をしている。 私に何か悪い事をしようとしている人の目。 静かな本屋さんの奥には私の父親よりも大きい男の立てる音がするのに誰もこない。 男の向こうにも男の人がいるし、私達のすぐ後ろにも男の人が本を読んでいる。
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