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ボクは、そのスーツにメガネの人の隣に座った。
すると、バーテンさんが、
「未成年は、入店禁止になっております。」
と、丁寧に言ってきた。
「ボク、21歳です。証明書見ます?」
「では、一応、ご提示下さい。」
ボクは、学生証を出した。
「お若く見えましたので。申し訳ありませんでした。21歳ですね。確かに。」
「いいえ。よく、間違われるんで。」
ボクは、隣の男性の顔を覗きこんで。
「ボクと、飲みませんか?」
と、いつものセリフで誘った。
ナンパされることが、多いけど、タイプの人を見つけたとき、こう言って誘うんだ。
「何で?」
そうきたか。
「寂しいじゃないですか。1人って。」
「俺は1人で飲みたいの。」
そっか。じゃあ、仕方ない。
「じゃあ、あっちで飲みます。」
ボクは、諦めてソファー席に移動しようとした。
「いや、待て。」
「はい?」
「俺が追っ払ったみたいで、感じ悪いだろ。一杯だけ、付き合ってやる。」
これは、いいってこと?
彼は、きれいな指の大きな手で自分の隣の席をポンポン叩いた。
ボクは、そこに座り、バーテンさんに、カクテルを注文した。
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