8人が本棚に入れています
本棚に追加
それから、ボクは、暇を見つけては、あの彼と出会ったバーに顔を出すようになった。
普通のバーだから、ボクの行きつけのバーみたいに、声をかけられる事はなかった。まあ、でも、後ろ姿で、女の子と間違えて、ちょっと声をかけられることもあったけど、やっぱり、バーとしての格が、いつものバーより高いから、ナンパとかあまりないみたい。絡まれないし。
バーテンさんと話すようになってたから、聞いてみた。
「あの人来ませんね。」
「あの方は、仕事が一段落しないと、きませんよ。」
「そうですか。」
「本当は、お客様のことは、喋れないのですが。」
「ありがとうございます。」
「いいえ。」
この日も来ないのかなって、カクテルをチビチビ飲んでいた。
「君、来てたんだ。」
声のほうに振り返ると、あの彼だった。
「会えた。やっと会えた。」
すごく、すごく嬉しかった。
「俺と会えたのが、そんなに嬉しい?」
「はい!とても!」
「そんなもんか?若くもないし、イケメンでもないのに。」
「えー?イケメンですよ。」
「そっか?君は可愛いな。」
「え?」
彼は、笑って、ボクの髪をくしゃくしゃっと、かきまぜた。
その顔にドキッとした。
最初のコメントを投稿しよう!