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プロローグ
突如聞こえてきた、けたたましい音の原因に手を伸ばす。再び訪れた心地の良い静けさに、視界が歪んだ。すんでのところで、毛布から顔を出し、カーテンの隙間から漏れる光をなんとなく眺める。
「あぁ。そういえば今日から、また授業でしたか」
そろそろ起きなければと思いながらも、睡魔は襲ってくる。後5分と目を閉じると、またしても目覚ましが音を立てて騒ぎ出した。
おかげで完全に目が覚めてしまい、仕方なくソファーから体を起こす。そして、多少苦戦しながら、物が散乱している机の上からメガネを取り出した。
そろそろ着替えようと、ソファーから離れて、ハンガーに掛かっているワイシャツに手を伸ばす。しかし、何故か手が届かない。平均男性よりも低いというのに、さらに縮んだのか。私は唯一届く、ワイシャツの袖口を引っ張る。案の定、掛かっていたハンガーは外れ、バサリと床に落ちた。
ハンガーはそこら辺に置いておいて、拾い上げたワイシャツを、少しほろってから袖に腕を通した。だが、最後まで袖を通す事が出来ず、途中で力なく垂れている。袖だけではなく、全体的にもぶかぶかで、これではローブのようだ。
あまりにもこれは異常だと、鏡の前に立つと、そこには小さい頃の自分がそこに写っていた。
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