雨傘の魔法使い

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雨傘の魔法使い

 その昔、山の(いただき)に「雨神様(あまがみさま)」という異名で恐れられた河童の魔法使いが住んでいました。彼は雨傘を魔法棒として使用し、風雨雷氷(ふうらいひょう)の術で他の魔法使いや人間達を次々と殺した無敗の魔法使いでした。  しかし彼は年を取り、戦いの日常から一線を退くと、どこか自分の心が満たされていない(・・・・・・・・・・・・・)ことに気づき始めました。彼の心にはぽっかりと穴が開いていたのです。全ての戦いに勝利し清々したはずだったのに。なぜ自分の心が満たされていないのか彼には全く分かりませんでした。  そんなある日、彼のキノコ型の奇妙な茅葺屋根(かやぶきやね)の家にお客が訪れました。  コンコンコンコン  彼は紺に美しい金色の刺繍が施されたフードを被り、雨傘を杖代わりに玄関まで行くと、古い蝶番(ちょうつがい)の軋むドアを開けました。 「あっ、あ、あの、あ、雨神様ですか?」  そこには一人の少女が立っていました。そして何だかオドオドしていました。 「……ああそうだが? 何の用だ」
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