13 軋む心

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「真心ちゃん、おばあちゃんと一言も話さなかったんだって」  私はチーズ味のテーブルロールを手に取り、半分に千切って口に入れた。 「は?」 「智くんを苛めたから、嫌いだって」 「俺がいつ、苛められたんだよ」 「真心ちゃんにはそう見えたんでしょ?」 「納得いかないんだけど」 「てか、論点ズレてる」と言うと、私はキャラメルナッツのクロワッサンを自分の皿にのせた。智也の最寄り駅近くのパン屋さんのパンで、これが一番好きだ。智也には甘すぎるらしく、食べているのを見たことはない。 「真心ちゃんが、おばあちゃんよりも智くんを大切に想ってくれたことを喜ぶトコでしょ」 「ああ……、まぁ……」  「真心ちゃん、智也が買って行ったケーキしか食べなかったって。愛されてるね」 「けど、それじゃあ、真心が叱られたんじゃないか?」 「夏子も考えさせられたみたい」 「何を?」 「ご両親とのこと」  智也は塩パンに手を伸ばす。  私は、一昨日の夜、電話で夏子から聞いた話を始めた。 「夏子がご両親と連絡を取っていたのは、真心ちゃんと勇気くんの為だったんだよ」 「は?」 「夏子の旦那さんて、ご両親が亡くなっている上に、一人っ子なんでしょう?」 「ああ」 「夏子だってご両親へのわだかまりが消えたわけじゃないけど、真心ちゃんと勇気くんのおじいちゃんとおばあちゃんだから、連絡を取り続けていたみたい」
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