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「はい、今日は自己紹介から始めます。」
一時間目は自己紹介と係決めらしい。自己紹介も係決めも、私は嫌だ。
自分を知ってもらわないと友達なんて出来ない。でも、こんな陰キャな私に友達なんて出来るのだろうか。
「まず・・・暁。」
「は、はい。」
小声で返事をした私は立ち上がり、みんなの方に向いた。でも、顔を直視する事は出来ず、下を向いていた。
だが、チラッと上をむくとそこには平助君がいた。何故か彼の顔を見た瞬間、安心したのか少しだけ上を向くことが出来た。
全員が私に注目している。それ以上に怖いものがあるのだろうか。全員が嘲笑いこちらを向く記憶が蘇る。
握り拳を作って私は震える足を懸命に止めるようにした。
「あ、暁詩音・・・です。一年間、よろしくお願いします。」
その後、拍手が起こり私は目線をそらしたまま、席に座った。
「初めまして。」
後ろから明るい声が聞こえた。私とは正反対の声だ。1人だけ見ていないのは癪に障ると思い、一応その方を向いた。
「浅野楓菜と言います。音楽を聴くことが大好きです。よろしくお願いします!」
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