記憶

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途中、歩いていると足を引っ掛けるために出された足があった。 夢だし。 そう思って、私はその足を飛び越えるどころか、それを思いっ切り踏んずけて歩いた。勿論、「痛!!」という女子の声が聞こえた。 列の後ろの方まで行くと、突然立ち上がった男子に胸ぐらを掴まれた。 「おい。てめぇ俺の彼女に何してくれてんだよ。」 先程の少女の彼氏が私にどついてきた。後ろで彼女は泣いていた。そして、他のクラスからの視線も向けられていた。 「そんなことして、タダで済むと思ってんのか!!?」 うるさい・・・ 『黙れよ。』 私は逆にその男の胸ぐらを掴んで、そのまま投げ飛ばした。 バァァァン!! 体育館にそんな音が響いた。それを見た体育会系の先生は、慌てて私を止めた。 「暁!!何してるんだ!!早く謝りなさい!!」 『謝る・・・?誰に。』 「っ!!?」 その時、私は自我を保ってはいなかった。先生を睨んだその瞳は赤く染まり、そして殺気を放っていた。
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