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「この動画を観た人はどういう反応しますかね。
少なくともみなさんが、学習塾の大手、『小田塾』の重役だと思う人はいないでしょうね。
見出しはいろいろできますね。
<突然、少年に言いがかりをつけて暴力!学習塾大手の重役たち!>
高城寺検事にはいろいろお世話になってるけど、娘さんにお世話になるとは思わなかったなあ。
特ダネ、特ダネ!」
獅子内さん、満面の笑み。
「待ってくれ。話し合おう。わたしたちは、きっと友だちになれるはずだ」
孫の昭二さん、声が震えてる。
「そうですね」
七草さん、冷たい目を昭二さんに向ける。
「昭二。『小田塾』の広告を『令和日報』に掲載させていただきなさい。
打ち合わせには、あなたのお金でホテルに招待しなさい。
いいですね」
七草さん、有無を言わせない厳しさ。
ぼくには見せなかったかっこいい表情。
「は、はい」
獅子内さん、満面の笑み。
「ディナーには、キャビアとフォアグラ、お願いしますよ」
孫の昭二さん、足元フラフラ。
追い討ちかけて、スマホが鳴る。
「昭二。出なさい。磯部弁護士からでしょう」
昭二さん、離れた場所で電話を受ける。
しばらくして、全身フラフラで戻ってきた。
戸田さん、宮脇さんの方を向いて、首を左右に振ってる。
「さっき、磯部弁護士には、動画を撮影してること伝えた。日下部君に暴力ふるったことだって・・・
日下部君を告発なんてできるはずないじゃん」
高城寺さん、ぼくにささやく。
「本当にありがとう」
ぼく、心からお礼を言った。頭を下げる。
「一応、恋のキューピットだから」
高城寺さん、そう言って・・・
顔を横に向けた・・・
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