100回デートさせてよ!

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100回デートさせてよ!

 駅前書店って、ちょっと規模は小さいけど、いろんな本が揃ってる。  次の土曜日の午前。  ぼく、ひとりで本を探してた。  「いつもとちがうコーナーにいる日下部君」  からかうような声。  すぐ隣に高城寺さん。  本棚に目を向けてる。  「医学書?七草さんのためでしょ」  「いろいろ情報知りたいもの」  ぼく、説明する。  「大学卒業して七草さんの理想の学習塾をつくるまで、少なくても10年。  今度、七草さんと病院に相談に行く。    『110歳まで元気でいられるには、どうしたらいいか?』  そう相談するんだ。  でもぼく10年じゃ足りない。20年、30年・・・  ふたりで一緒にがんばりたいって思ってるんだ」  高城寺さん、クスクス笑い。  「日下部君。君って本当に面白いこと言うね」  冷たい目でぼくのこと、見つめてきた。  「そうだ。獅子内さんからのことづけ。  あの三人、またなにか、しかけてくるだろうって」  ぼく、一瞬で緊張!  そんな・・・  七草さんに会えなくなるなんて、ぜったいイヤだ!  でも・・・  「じゃあ、約束だから!」  高城寺さん、明るく話しかけてくる。  「この前のお礼に、七草さんから君とデートする許可もらったから・・・  おこづかいまでもらってサ。  君なんかと一緒に行きたくもないけど、お金だけ要求するのは、さすがにちょっとね。  あれだけ助けてあげたんだから、おこづかいもらって100回デートさせてほしいよね」  「分かってます・・・」
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