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10ぷんほどじっとみつめていたももちゃん、ついにけっしんしました。
「おかあさん。ぎんこうにあずける。そのほうがおばあちゃんのおかねが
ふえるんでしょ?」
「そうね」
そしてまたまどぐちにこえをかけ、おかねをあずけました。
「たいせつなおかね、たしかにあずかりました。ありがとうございました」
まどぐちのおねえさんのことばに、ちからづよくうなずいたももちゃん。
「おばあちゃんのおかねをふやしてください」
と、おねえさんをなかばにらみながら、しんけんにつたえました。
おねえさんも、
「かしこまりました」
とおじぎをしてくれました。
かえりみちみち、ももちゃんはだまりこくってました。
おばあちゃんのあせとなみだのけっしょうのおかねです。
ひごろからおかねのたいせつさ、おばあちゃん、おじいちゃんのくろうを
おとうさんからきかされていたからなおさらです。
おかあさんはたまらず、とちゅうのこうえんでふたりぶらんこにのり、
ももちゃんをひざにのせて、すこーしゆらゆらゆらせながら、
ももちゃんをうしろからだきしめながら、そっとなみだをながしました。
うれしかったのです。
(こんなやさしいかんじょうのもちぬしだったなんて)
「おかあさん。おばあちゃんのおかね、きっとふえるよね。
そしてあたらしいおさつになって、かえってくるよね」
まだかなしそうなももちゃんでしたが、ぎんこうのひとをしんじるきもちになっていました。
そして、こうおもいました。
あたらしいおさつになったらぴかぴかになって、かえっておばあちゃん、よろこぶかもしれないな。
あの1,000えんさつのしわしわやよごれをわすれないぞ。
と。
ーおわりー
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