ももちゃん5歳。ちょきんつうちょうをつくる

8/8
前へ
/8ページ
次へ
10ぷんほどじっとみつめていたももちゃん、ついにけっしんしました。 「おかあさん。ぎんこうにあずける。そのほうがおばあちゃんのおかねが   ふえるんでしょ?」 「そうね」 そしてまたまどぐちにこえをかけ、おかねをあずけました。 「たいせつなおかね、たしかにあずかりました。ありがとうございました」 まどぐちのおねえさんのことばに、ちからづよくうなずいたももちゃん。 「おばあちゃんのおかねをふやしてください」 と、おねえさんをなかばにらみながら、しんけんにつたえました。 おねえさんも、 「かしこまりました」 とおじぎをしてくれました。 かえりみちみち、ももちゃんはだまりこくってました。 おばあちゃんのあせとなみだのけっしょうのおかねです。 ひごろからおかねのたいせつさ、おばあちゃん、おじいちゃんのくろうを おとうさんからきかされていたからなおさらです。 おかあさんはたまらず、とちゅうのこうえんでふたりぶらんこにのり、 ももちゃんをひざにのせて、すこーしゆらゆらゆらせながら、 ももちゃんをうしろからだきしめながら、そっとなみだをながしました。 うれしかったのです。 (こんなやさしいかんじょうのもちぬしだったなんて) 「おかあさん。おばあちゃんのおかね、きっとふえるよね。  そしてあたらしいおさつになって、かえってくるよね」 まだかなしそうなももちゃんでしたが、ぎんこうのひとをしんじるきもちになっていました。 そして、こうおもいました。 あたらしいおさつになったらぴかぴかになって、かえっておばあちゃん、よろこぶかもしれないな。 あの1,000えんさつのしわしわやよごれをわすれないぞ。 と。 ーおわりー
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加