ご近所付き合いは難しいでしょうか?

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 その日はたまたま授業が休講になったこともあって、真広と一緒に食堂へ行くことにした。昼休みに食堂へ行くと人が多すぎて2人分の席を確保するのにも一苦労だ。こうやって他の人が授業を受けているであろう時間に利用するのがベスト。大学生活にもある程度慣れてきた。  席に着くと、私はお弁当を広げた。食費を浮かすために出来ることは何でもやらなきゃならない。節約、節約。真広は荷物を置くなり財布を持って学食を買い、席へ戻ってきた。  「相変わらず、美味しそうなお弁当。自炊がんばってるね~。」  そう言いながら私のおかずに手を伸ばしてくる。私はその手を払いのけて自慢気に答える。  「まあね。一人暮らしのためですから。」  それから真広は買ってきた定食を、私は自作のお弁当を食べながら話に花を咲かせた。勉強のこと、サークルのこと、この先生が良いだ悪いだなんて話にまで広がっていった。  「そういえば、悩んでたお隣さんとの関係は良くなった?もうそろそろ私を招待してもいいんじゃない?」  私は突然来た問いに対応しきれず慌ただしく答えを濁してしまう。  「緑川さんとはまだちょっと…。家に呼ぶのもまだ整理が…。」  真広にだましだましの理由をつけて自宅訪問を断るのにも限界がきつつある。
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