あいさつって気持ちいいでしょうか?

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 そんなことを考えているうちに授業が終わった。書き留め忘れた黒板を消される前に必死に写す。今日、受けなければいけなかった授業は終わり。退屈な一日を頑張った。明日も来なければいけない大学に一時的な別れを告げて、帰宅した。  それから、数週間がたった。隣に越してきた安藤さんは会うと決まってあいさつをしてきた。僕はいつものように  「どうも。」  と返すだけ。あるときは玄関出口、あるときはエントランスホール、またあるときは大学のキャンパス内でもこのやりとりは行われた。  今日は早くに家を出たから、安藤さんと玄関先で会うことは無かった。このまま今日は会わないといいなと思いながら、エレベーターに乗って、一階のボタンを押した。  瞬間、エレベーターの扉が開かれる。  「お…はようっ…ございます。」  息を切らした安藤さんが入ってくる。息を整える安藤さんと鼓動を整える僕とでエレベーターの中で謎の緊張感に包まれた。安藤さんがこの沈黙に口を開く。  
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