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返事って……。
落ち着いて考える時間も与えられず、畳み掛けるように問うてくる。
彼女と同棲するんやないの?
そのとき、日向子はふと、抱きしめている圭太の手が震えていることに気づいた。胸の鼓動もありえないぐらい速い。
「……ほんまは、ヒナの背ェ抜いたら、告白しようと思ってたんやけど、気づいたら卒業やもんな」
顔を上げると、圭太が弱ったように笑う。そして、コツンと額をくっつけて、ため息混じりにつぶやいた。
「ごめん、色々アセってしもた」
ヒナが見るたびに可愛くなるから、という糖度高めの発言に、日向子は絶句した。知らない国の言葉を聞いているような気がする。
「……“可愛さ”とは対極にいると思うけど、私」
“カッコいい”と言われる方が、よっぽど自分に合っている。
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