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「じゃあ、好き?」
圭太の右手が顔の輪郭をなぞりながら、とろけるような笑顔を向ける。
「オレは、ヒナのことがずっと好きや」
──なあ、好きって言うて。
うっかり直視してしまった日向子だが、うまく言葉が出てこない。代わりに、ポロポロと涙の粒がこぼれ落ちた。うれしさと恥ずかしさが混ざって、なにも答えることができなかったのだ。
日向子は、圭太の胸に顔を寄せ、ギュッと抱きしめた。それが精一杯の“返事”だった。
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