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私の幼馴染はモテる。
老若男女問わず、だれからも好かれるヤツだ。
「圭太先輩、付き合ってください」
放課後の校舎裏。
運悪く、告白の現場に遭遇してしまった。
上履きの色から1年生と推測される。
──なにも、ここで言わんでも……。
壁に背をあずけ、日向子はげんなりした様子でため息をつく。弓道場へ行くためにはここを通るしかないのだが、もう何度目かわからない告白シーンに鉢合わせていた。かなりのエンカウント率だ。
「気持ちはうれしいんやけど、ごめんな……」
これは定型の断り文句。
少し困ったような笑顔を浮かべて、否と言う。
「オレ、彼女おるから」と、はにかむ様子を見せれば、大抵の相手は引き下がるしかなかった。
──彼女なんか、ホンマはおらんくせに。
日向子は心の中でポツリとつぶやく。
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