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──私とは、大違い。
172cmの身長は、日向子にとって大きなコンプレックスだった。ちなみに、圭太の身長は169cm。自分より背の高い女など、きっと恋愛対象にはならない。
長い手足も短い髪も、可愛さからは程遠い。
体育祭恒例のフォークダンスでは入学以来ずっと男子パートを担当していたし、文化祭の模擬店では“執事”として大活躍をした。男性から好かれる要素など、まったくなかった。
「ごめん」
そう言って、圭太は頭を下げる。自分の容姿に自信があっただけに、告白してきた本人は不服そうな様子だ。
なにかを言いたそうな雰囲気だったが、それを沈黙させたのは、他でもない圭太自身だった。
──卒業したら、彼女と同棲するから。
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