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同棲の件だろうか。
問い詰めたい気持ちと、何も知りたくない気持ちがせめぎ合う。一瞬の躊躇いの後、うつむいたまま、日向子は消え入りそうな声で答えた。
「……遠かったから、内容までは聞こえてない」
はい。嘘をつきました。
しかも、「嘘をついています」というバレバレの態度で、だ。
その様子に、圭太が盛大なため息をついた。チクチクと刺さる視線が痛い。
「よお、聞いといて」
そう言って、圭太はゆっくりと口を開いた。
──卒業したら、一緒に暮らそ。
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