3cmの憂鬱

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「は?」 ()頓狂(とんきょう)な声が出た。 唐突(とうとつ)すぎて理解ができない。 え? ルームシェア的な? 混乱する日向子(ひなこ)の左手を圭太(けいた)が持ち上げる。 薬指に銀色の光が輝いた。 青い石がついた、シンプルな指輪だ。 「安物やけど、“虫除け”にはなるやろうから」 そう言って、おとぎ話に出てくる王子様のように手の甲にキスをする。 「ッ!?」 思わず引っ込めそうになった手は、しっかりと握られたまま。それどころか、逆に引っ張られて、圭太の腕の中に閉じ込められた。 「……なあ、返事は?」
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