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薄曇りの小さな空に、反響する声が昇った。
海へ叫ぶ人よろしくの仁王立ちに、
座っていた私はちょっと肩をすぼめる。
通学鞄を引き寄せると、金網模様の白テーブルがカタリと金属の揺れ方をした。
校門をくぐってすぐに見えるこのスペースは、
愛称的にエントランスと呼ばれている。
オープンカフェを模した座席がいくつか並んだ場所だけれど、日陰に入りやすいためか、あまり使う人がいない。
梅雨ともなれば尚更で、雨を免れた今日でさえ、
いるのは私たち三人だけだ。
「まったくもう、何を話してくれんのよあの理科教師! 壊された。完っ全に夢壊された!」
そんなわけで、進級しても引き続き同級生なこの子の叫びもとどまるところを知らない。
「へぇー。りーちゃんって、
七夕伝説に夢感じてたんだねぇ」
黙って見守る私と逆に、
のんびり言ってのけたのは向かい側のもう一人。
私の幼なじみで、
春からはこちらも同級生な日比谷美沙ちゃんは、
金属の冷たさが嫌だそうでテーブルのそばに立っている。
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