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「ん? あたしは七夕伝説なんて、
別にどうでもー」
「はあーっ? まったく二人とも…!」
「まあまあ、人それぞれだって。
ねー、そろそろ学校出ない?
あたし、栗みたいに焼き鳥食べたい」
「や、私、自分用で買ってるんじゃないんだけど」
「でもお隣で食べてるでしょ? いいなー、
あたしも遊びに行ってみたいー」
「日比谷ちゃん、方向が全然違うじゃない。
…わたし、食べるならアイスがいい」
「よしっ、じゃあ焼き鳥屋さん行って、
駅前でソフトクリームも買おう。
栗もついでに砂肝買いなよ、好きでしょ?」
「私の好物じゃないってば!」
椅子から立ち上がっての抗議も、
返るのはころころと笑う声。
もう一人の子も椅子から鞄を取り上げて「行きましょ」とすっかり落ち着いた声を出す。
授業が分かれ始めたといえ、
三人が同じクラスになって三ヶ月あまり。
一緒にいる時間が増えたら、こうした光景がだんだんお馴染みになってきてしまった。
ああ、小腹をすかせた二人の足取りがとても軽い。
それにしても、七夕かぁ。
呼び声に応えながら、
白い曇り空を見上げてみる。
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