3人が本棚に入れています
本棚に追加
どこへ行っていたのか、
どうやって「間に合わせた」のか、
そのくらいは聞きだしたかったのに、
なんだか何も言えなくなってしまう。
だって、私なら、景色に見とれている時に問い詰められたくなんてない。
夢よりも鮮やかな眺めの中で、
わざわざ問い詰めたくもない。
星空を見上げる人を見上げて、
ついでにその夜空も眺めながら、
さてどうしようかと考えてみる。
けれど、先に口を開いたのは横宮さんだった。
「──…あぁ。やっぱりだめか」
ついと目を伏せて、
何やら独り言のような響き。
小首を傾げつつ同じように視線を下げて、
ぎょっとしたのは私だった。
「よっ…横宮さんっ、灯りが消えてっ……!」
や、消えてはいない。
ただ、消えかけていた。
私が預かっていた時には煌々としていた鬼灯が、
いつの間にやら揺らめいて、
今にも光を手放しそうになっている。
最初のコメントを投稿しよう!