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淡くたなびく天の川に、点々と星が輝いている。
カササギが来る前は区別できなかった光。
全部で九つ、
すべてが一等星に変わったような瞬きに、
私の口がその名前を呟いた。
「……はくちょう座」
天の川に陣取る鳥の、広げられた翼の部分が、
淡く紅色に色づいていた。
あの場所にあんな色があったろうか。
大きな翼の端から端へ、
まさしく橋のように渡された色。
「見て」
囁き声に視線を下げる。
横宮さんが指した先、足下を流れる星々にも、
気づけば同じような橋が架かっていた。
はくちょう座から真下をたどった位置に、
こちらは白く光る帯。
私たち同様、
すべてを止めて見入っていたらしい対岸が、
徐々にまたお祭りの音を響かせ始める。
「あー、終わったぁ! 横宮さんっ、本当にありがとうございましたぁっ」
言葉通りの解放感で、
黒猫さんが声をはずませた。
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