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「えっ、狐さ──」
「あんたの古巣が仕事遅いのがいけないんでしょおっ! 正式な手順踏んでたら、絶対間に合わなかったんだから!」
「そんなのわたしが知るかあいつらに言え!
おかげでこっちは急遽呼び出されて、夏の稼ぎ時がこの有様だぞ!
七夕祭りのあれこれは絶好のチャンスなのに!」
「橋が架かんなきゃ祭りも台無しじゃないっ、だったらむしろあたしに感謝しなさいよ! ていうかっ、あたしはあんたなんて呼んでないし!」
「あぁそうだね呼ばれてないよ!
呼んだのは──もうほんと、あんたもなんでわたしだよ! 協会員呼べよ!」
うわあ、口を挟む余地がない。しかも、最後の怒りは明らかに私の隣へ向けられている。
「だって、うちによく来るのは君のほうだから」
思わず身を引いた私とは対照的に、
横宮さんが何も悪びれない声で返した。
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