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天の川が空と地面をゆったり巡り、
翼を広げた星々が点々と瞬く。
「さあ、そろそろ対岸に戻ろう。
でないと、帰りが夜中になっちゃうよ」
跳ね回る影ふたつを見つめる私を、
やがてそんな一言が促した。
「えっ、もうそんな時間ですか?」
「今はそうでもないはずだけど、
ここからまた戻るわけだし。
それに、お祭り見るんでしょ?」
「見ます! …あ、遅くなるなら、
ここで何か食べようかな。
お金が使える店、ありますかね?」
「どうだろう、探してみようか。
でも、仮に見つかっても、何を売ってるかわかるまでは買っちゃだめだよ?」
「はい。──ああ、あと、
お隣さんっていうのも内緒ですか?」
茜色の居間で聞いた、
深い深いため息を思い出して尋ねてみる。
ちょっと意表をつかれたような顔の後、
横宮さんは苦笑半分の真剣さで頷いた。
背を押されるまま歩きだして、
あれ、と気がつく。
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