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前章
ねえ皆さん、7月ですね。
短冊配られたでしょ、もう願い事書きました?
でもあれだ、七夕って、
科学の目で見ると面白い伝説なんですよ。
だってさ、織姫と彦星が一年に一度だけ逢う、
って言うでしょ?
でもこの二つの星、つまりベガとアルタイルって、互いに大体十四光年ほど離れてるんです。
ははっ、知ってた? 片道だけで七年ですよ?
それにこの二つはまだ若い星だから、
大まかに言ってもあと十億年は生きるでしょう。
つまり、あと十億回会うんです。
これをさ、
仮に人間の一生に換算してみましょうか。
かなり大雑把だけどね、人生百年程度の二人が、
死ぬまでに十億回会うとすると……ほら、
約三秒に一回の頻度になるわけだ。
三秒に一回ですよ?
もうこれ、ずっと一緒にいたほうが早いでしょ。
まあ、伝説にこんなこと言っても仕方ないけどね。
あ、もしかして夢、壊しちゃったかな。
でも、科学ってこういうものですから。
えーっと、何の話をしてたんだっけ。
あぁそうだ、短冊、ちゃんと書きましょうね。
じゃあ授業始めます。
今日は三十八ページからー……。
*
「なーにが、科学ってこういうものですから、よっ!」
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