女子高生?

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女子高生?

 どうにも上手く行かない日だ。  溜息を吐きたくなる中で、次の被害者候補がトイレにやって来た。  女子高生らしかった。 「女子高生か……。まあ、一人なら怖がってくれるかな?」  集団の女子高生は強い。  それは過去の経験から赤いちゃんちゃんこも良く知っていた。  だが、一人であれば、か弱い女と何ら変わりはないはず。  よし、今度こそ……。 「赤いちゃんちゃんこ……あれ?」  さっきまで視界にとらえていたはずの女子高生がどこにもいなかった。  慌てて探す赤いちゃんちゃんこの喉元に、背後から鋭い刃が押し当てられた。  蛍光灯の光を受けて、きらりと輝いている。 「そんなに殺気を出しちゃバレバレだよ?」  舌足らずな甘ったるい声と喉元に押し当てられた白刃がどうにもマッチしない。  だがそれは、さっきまで目の前にいた女子高生に違いなかった。 「君は痴漢さんかな?」 「ち、違う。違います……」 「じゃあ、どちら様?」 「都市伝説です。赤いちゃんちゃんこって知りません?」 「ああ、着せて見なさいよって言ったらずぱぁっていう」 「そうそう、それです」  刃を喉元につきつけられているにも拘らず、自分が知られていたという喜びに思わず口元がほころぶ赤いちゃんちゃんこ。 「でも、そんなに殺気出しまくりだと、すぐ気づかれて避けられちゃうよ?」 「いや、これでも相当忍んでいるんですけど」 「残念だけど、なっちゃいないよ。もう少し修行したほうが良いと思う」 「す……すみません」 「良かったら、うちの師匠に稽古つけて貰って。名刺渡しとくね」  彼女がそう言った次の瞬間、赤井ちゃんちゃんこの手には一枚の名刺が握られていた。 「え? あ?」 「じゃあね、都市伝説さん。また会いましょ」  気が付けは喉元の白刃は消え去り、背後にいたはずの女子高生も姿を消していた。  手には紅蓮疾風流忍術教室 講師紅疾風(くれないはやて)と書かれた名刺が一枚残っているだけ。 「Oh……Ninja……」  思わず赤いちゃんちゃんこは発音良く呟いてしまったのだった。
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