レッド・シグナル

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仕事で疲れ果てた私は ふと交差点で立ち止まる 赤信号 止まっていてもよい時間、素敵 私の体から発せられる赤信号、もう危険、もう危険、これ以上仕事をすると死にますよ、それでも週に五日、「労働基準法なんてくそくらえ」といった上司の顔、一日九時間労働、最低賃金、出ない残業代、出ない労災認定、いまだに残った足のあざ、「ココヲヤメルナラオマエノイエニオシイッテヤルキコエテイルカ」 仕事で疲れ果てた私は 人生にも交差点があるのだろうと 結婚を機に 会社を辞めた 赤信号に気づかせてくれたのは 生涯愛しぬくと誓った 夫だった 主婦になって いまだに上司や同僚の顔が忘れられない 「一生守られて生きていけ」 と言い放った同僚 「社会は君に合っていない、社会は君を必要としていない」 と唾を飛ばしながら言った上司 気づかれないように泣いていた私を そっと夫が抱きしめてくれた もう この人との幸せだけで生きていける。 人生はきっと、赤信号と青信号の繰り返しなのだ
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