死神さんの預け物

7/42
前へ
/42ページ
次へ
まず、この時代では珍しい、というか、ほぼ有り得ない短髪。 それも、ただ単に坊主頭が伸びちゃった感じじゃなくて、しっかりと首筋にかかる長さで切りそろえられている。 こっちに来てから、髷か坊主頭しか見てないから、逆に新鮮だ。 次に前髪。左側だけ不自然にのばされていて、目を覆っている。 鬱陶しくならないのかな。 ただ、それがはまって見えるのは、その人がとんでもなく美形だからだろう。 切れ長の綺麗な目。 ただし、今はそれは見開かれてるけど。 本当、何に驚いてるの? 「忘れ物でもありました?」 お客さんだったかなと、一応思い出してみる。 でも、こんな人は来てないはずだ。 黒の着流しを着た人は何人かいたけど・・・。 全員五十才くらいだったと思う。 紫色の羽織を肩にかけてなかったし。 この人は多分二十才くらいだと思うから、その中にはいなかった。 その前に、髪型が目立つから、絶対に覚えてるはず。 ふいにその人は、こっちに近づいてきた。 あれ、やっぱりお客さんだった?
/42ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25人が本棚に入れています
本棚に追加