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まず、この時代では珍しい、というか、ほぼ有り得ない短髪。
それも、ただ単に坊主頭が伸びちゃった感じじゃなくて、しっかりと首筋にかかる長さで切りそろえられている。
こっちに来てから、髷か坊主頭しか見てないから、逆に新鮮だ。
次に前髪。左側だけ不自然にのばされていて、目を覆っている。
鬱陶しくならないのかな。
ただ、それがはまって見えるのは、その人がとんでもなく美形だからだろう。
切れ長の綺麗な目。
ただし、今はそれは見開かれてるけど。
本当、何に驚いてるの?
「忘れ物でもありました?」
お客さんだったかなと、一応思い出してみる。
でも、こんな人は来てないはずだ。
黒の着流しを着た人は何人かいたけど・・・。
全員五十才くらいだったと思う。
紫色の羽織を肩にかけてなかったし。
この人は多分二十才くらいだと思うから、その中にはいなかった。
その前に、髪型が目立つから、絶対に覚えてるはず。
ふいにその人は、こっちに近づいてきた。
あれ、やっぱりお客さんだった?
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